情報計数学科30周年記念誌


ある日の授業風景


山岡 恵美子 (6期生)


後ろで線香の臭い、横では目を点にして糊とはさみで工作、時々ダダダダ・・ と機関銃を打つような音、いったいこれはなに・・・ これはニ十数年前の工業計 数学科の実習風景です。紙テープパンチ機が教室の後ろに2台?しかないため 紙テープの穴を一つ一つ読み、足りなければ線香で穴をあけ、消去したいデー タは切り離して糊で修復する。また、機関銃のような音をたてて紙テープのコ ピーをする。これだけで1,2時間目の実習はほぼ終了する。穴がうまくあいたり、 切り貼りがうまくいくと、とても満足って感じの充実した授業となる??? 3,4時間目は手回し計算機と計算尺の実習である。手回し計算機は一人一台あった。 今考えても不思議な機械だ。これを利用して平方根、立方根、対数などを求める実 習だ。これまた教室中がチーン、チーンと音をたてての実習となった。私は、この 音がとても好きだった。いまだに回すときのあの手ごたえを覚えている。(チーン と鳴ると反対に戻すのでしたよね)小学校の時に利用したドリルのようなものを何 ページかこなして3,4時間目は無事終了となる。

お昼休みだ。食事を終えたら行くところがあった。英文科にある英文タイプの実習 室だ。ここで、両手打ちの練習をするのだが、何故かみんな英文タイプの検定試験 に合格することに燃えていた。キーとキーの間に指を挟み、痛い思いをしながら5,6 時間目の電気実験(みたいなもの)の授業に向かった。

いろんな機器のある実験室で吉田先生(その当時は独身だったからでしょう。 ”先生”と呼ばれただけで顔を赤くされて下を向いていらっしゃいました)が担当して おられた。そこに、アナログ計算機があった。出力としてはプロッターが接続されてい た。大きな回路に差し込みの付いた赤や青の線をどこかしこと差し込んでみた。 よって、実験中に一度はヒューズが飛んでいた。あまり理論は分かっていなかったが、 結果は必ず出た。吉田先生のおかげです。

7,8時間目は、今は亡き石丸先生の授業で機械語の実習があった。忘れもしません。 石丸先生が開発されたS-2というアセンブラ言語を利用して実習をした。ピカピカ とそこいら中のランプが意味ありげに付いたり消えたり、また、スイッチを入れた り切ったり・・・・・まさに計算機の何物でもなかった。また、S-2こそプログラ ム言語だ! と当時は思っていた。

想い出した中での印象深い授業はこのような風景でした。

あれからニ十数年、授業風景もがらりと変わりましたが、その時その時の授業風景を 思い出せるということは工業計数学科の歴史でもあります。大切にしまっておきた いものです。

(山口大学工学部)


宇部フロンティア大学短期大学部(旧 宇部短期大学)