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第五段  山崎街道の段

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daigo dan
底本の一部

(1996年1月14日現在)
¥T 第五 *
L5¥J地色ハル¥¥/鷹{たか}は/死{しゝ}ても/穂{ほ}はつまずと¥Jウ¥¥/譬{たとヘ}に/洩{もれ}ず¥J中¥¥入「ル」月や。¥Jウ¥¥日数も/積{つも}る山崎の/邊{ほとり}に/近{ちか}
き侘住居。¥Jハル¥¥早の勘平/若気{わかけ}の/誤{あやま}り¥Jウ¥¥世渡る/望姓{もとで}¥J中¥¥/細{ほそ}道/伝{づた}ひ。¥Jウ¥¥此山中の/鹿猿{しゝさる}を
¥Jウ¥¥打「ツ」て/商{あきな}ふ/種{たね}が嶋も。¥Jウ¥¥用意に持「ツ」や¥Jハル¥¥袂X/鉄砲{てつほう}雨のしだらでん。¥J中¥¥誰「カ」/水無{みな}月と¥Jハル¥¥/白
雨{ゆふだち}の。¥Jウ¥¥/晴{はれ}間を¥Jフシ¥¥爰に/松のかげ。¥J地ウ¥¥向ふより来る小/挑灯{ぢやうちん}¥Jハル¥¥是も昔は弓/張{はり}の¥Jウヲクリ¥¥/灯火{ともしび}。けさじ
/濡{ぬら}さじと。¥Jウ¥¥合羽の/裾{すそ}に/大雨を¥Jハル¥¥/凌{しのぎ}て/急{いそ}く¥J色¥¥夜「ル」の道。¥J詞¥¥イヤ申「し」++。/卒尓{そつじ}ながら火を一つ¥J地色ハル¥¥御/無
心{むしん}と立寄「レ」ば。¥Jウ¥¥旅人もちやくと¥J色¥¥身/構{がまへ}し。¥J詞ムヽ¥¥此/街道{かいだう}は/無用心{ふようじん}としつて/合点の一人「リ」旅。見
れば飛道具の一「ト」口/商{あきない}。¥J地色ウ¥¥ゑこそはかさじ出なをせと。¥Jハル¥¥びくと/動{うごか}ば一「ト」討「チ」と。¥Jフシ¥¥眼をくばれば。¥J詞¥¥イヤア成
程。/盗賊{とうぞく}とのお目/違{たが}ひ御尤千万「ン」。我等は此/邊{あたり}の/狩人{かりうと}なるが。先程の大雨にほくち
もしめり/難義{なんぎ}/至極{しこく}。サア/鉄砲{てつほう}夫「レ」へお渡し申「ス」。¥J地ウ¥¥/自身{じしん}に火を付御/借{かし}と。¥Jウ¥¥/他事{たじ}なき
¥Jハル¥¥詞顔付「キ」を。¥Jウ¥¥きつと/眺{ながめ}て。¥J詞¥¥和殿は早の勘平ならずや。さいふ貴殿「ン」は千崎弥五郎。是は/堅
固{けんご}で御無事でと。¥J地ウ¥¥/絶{たへ}て久敷「キ」¥Jハル¥¥/対面{たいめん}に。¥Jウ¥¥主人のお家/没落{ぼつらく}の。¥Jウ¥¥胸に忘れぬ無念の思ひ
¥Jスヱ¥¥互に。/拳{こぶし}を¥J中¥¥/握{にぎ}り合「フ」。¥J地中¥¥勘平は¥Jウ¥¥指うつむき。¥Jハル¥¥暫し詞も¥J中¥¥なかりしが。¥J詞¥¥ヱヽ/面目{めんぼく}もなき我身の上。
/古朋輩{こほうばい}の貴殿にも。¥J地色ウ¥¥顔も得上「ケ」ぬ此仕合。¥Jハルウ¥¥武士の/冥加{めうが}に/尽{つき}たるか。¥J詞¥¥殿判官公の御供先「キ」。
お家の大事おこりしは/是非{ぜひ}に及はぬ我「カ」ふ/運{うん}。其場にも有合せず。御屋敷へは帰れ
ず/所詮{しよせん}。/時節{じせつ}を待「ツ」て御/詫{わび}と。思ひの外の御切「ツ」腹なむ三宝。皆師直めがなす
/業{わざ}。せめて/冥途{めいど}の御供と刀に/手{て}はかけたれど。¥J地中¥¥何を手/柄{がら}に御供と。¥Jハル¥¥どの/頬{つら}さげていひ
/訳{わけ}せんと¥Jキン¥¥心を/砕{くだ}く¥J色¥¥折から。¥J詞¥¥/密{ひそか}に様子を承はれば。由良殿御親「ン」子郷右衛門殿を始めとして。
/故殿{ことの}の/鬱憤{うつぷん}/散{さん}せん為。寄「リ」々の思召「シ」立有との/噂{うはさ}。我等迚も御/勘当{かんどう}の身といふ
でもなし。手がゝり/求{もと}め由良殿に/対面{たいめん}とげ。御/企{くはだて}の連判に御/加{くは}へ下さらば。¥J地ウ¥¥生々世々
の¥Jハル¥¥/面目{めんぼく}。¥Jウ¥¥貴殿に逢も/優曇華{うどんげ}の。¥Jウ¥¥花を/咲{さか}せて侍「イ」の。¥Jウ¥¥一分立て給はれかし。¥Jウ¥¥/古傍輩{こほうばい}
のよしみ武士の情。¥Jウ¥¥お頼申「ス」と両手をつき。/先非{せんび}を/悔{くい}し男泣¥¥フシ中ノル¥¥/理{ことは}り。¥Jハル¥¥せめてふ便{びん}なる。¥J地ウ¥¥弥
五郎も/傍輩{ほうはい}の/悔{くやみ}¥Jウ¥¥道理と思へ共。¥Jハル¥¥大事をむさと¥J色¥¥明「カ」さじと。¥J詞¥¥コレサ++勘平。はて扨。お手前は
身の/言訳{いひわけ}に取まぜて。御/企{くはたて}のイヤ連「ン」判などゝは何「ン」の/譫言{たはこと}。左様の/噂{うはさ}かつてなし。某は
由良殿より郷右衛門殿へ/急{きう}の使。先「ン」君「ン」の御/廟{びやう}所へ。御/石牌{せきひ}を/建立{こんりう}せんとの/催{もよほ}し。/併「シ」我々
迚も浪人の身の上。是こそ塩冶判官殿の御石「キ」/塔{たう}と。末の世Xも人の口のはにかゝる
物故。御用金を/集{あつむ}る其御使。先「ン」君の御/恩{おん}を思ふ人を/撰{ゑり}出す為。わざと大事を明
されず。先「ン」君「ン」の御/恩{おん}を思はゞナヽ。合点か++と。¥J地色ウ¥¥石牌になぞらへ¥Jハル¥¥大星の。/工{たくみ}を/余所{よそ}にしらせしは。
¥Jフシ¥¥げに/傍輩{ほうばい}のよしみなり。¥J詞¥¥ハアヽ忝い弥五郎殿。成「ル」程石「キ」/牌{ひ}といひ立。御用金の御/拵{こしらへ}
有事とつくに承はり及び。某も何とぞして用金を/調{とゝの}へ。それを力に御/詫{わび}と心
は/千々{ちゞ}に/砕{くだ}け共弥五郎殿。恥しや主人の御/罸{ばち}で今此ざま。誰にかうとの便「リ」もなし。
され共かるが親。与市兵衛と申はたのもしい百姓。我々夫婦が判官公へ。不奉公を
/悔{くやみ}嘆き。何とぞして元の武士に立返れと。¥J地色ウ¥¥おちうば共に嘆「キ」悲しむ。¥Jウ¥¥是幸「イ」御/邊{へん}に
逢し¥Jハル¥¥物語。¥Jウ¥¥段々の子細を語り。¥Jウ¥¥元の武士に立かへると言聞さば。¥Jウ¥¥/纔{わずか}の/田地{でんぢ}も我
¥J中¥¥子の/為{ため}何しにいなは¥Jハル¥¥ゑもいはじ。¥Jウ¥¥御用金を手がゝりに郷右衛門殿X¥J中¥¥お取り次。¥Jウ¥¥一入頼存ると
¥Jウ¥¥/余義{よぎ}なき詞にムヽ成「ル」程。¥J詞¥¥然らば是より郷右衛門殿X右の/訳{わけ}をも咄し。由良殿へ
願ふて見ん。明々日は/必{かならす}/急度{きつと}御返「ン」事。則「チ」郷右衛門殿の/旅宿{りよしゆく}の所書「キ」と。¥J地ハル¥¥渡せは取「ツ」て
押「シ」/戴{いたゝき}。¥Jウ¥¥重々の御¥J色¥¥/世話{せわ}忝し。¥J詞¥¥何とぞ/急{きう}に御用金を/拵{こしら}へ。明々日お目にかゝらん。某
か有家お尋あらば。此山崎の/渉場{わたしば}を左「リ」へ取。与市兵衛とお尋有「レ」ば。/早速{さつそく}相しれ
申「ス」べし。夜ふけぬ内に早くも御出。コレ此行「キ」先は猶/物騒{ぶつさう}。随分ぬかるな合点++。石「キ」/牌{ひ}
/成就{じやうじゆ}するXは。/蚤{のみ}にもくはさぬ此/体{からだ}。御/邊{へん}も/堅固{けんご}で。御用金の便「リ」を待ぞ。¥J地色中¥¥さらば。++と
両方へ¥Jヲクリ¥¥立別。Sてぞ急「キ」行。¥J地ハル¥¥又もふりくる¥Jウ¥¥雨の足人の足音¥J中¥¥とぼ++と。¥Jウ¥¥道は/闇路{やみぢ}に/迷{まよ}
はねど¥Jハル¥¥子故の/闇{やみ}につく/杖{つへ}も。¥Jウ¥¥すぐ成「ル」心/堅{かた}親仁一「ト」筋道の¥J色¥¥/後{うしろ}から。¥J詞¥¥ヲヽイ++親仁殿。¥J地ウ¥¥よい道連。と
¥Jハル¥¥呼はつて。斧九太夫が/C{せがれ}定九郎。¥Jウ¥¥身の置「キ」所白「ラ」浪や¥Jウ¥¥此街道{かいだう}の夜/働{ばたらき}。¥Jウ¥¥だん平物を
落し指。¥J詞¥¥さつきにから呼「ブ」声が。貴様の/耳{みゝ}へははいらぬか。此/物騒{ふつさう}な街道を。よい年をして/太
胆{だゐたん}++。¥J地色ウ¥¥連「レ」にならふと向ふへ廻り。¥Jウ¥¥きよろ付「ク」目玉¥Jハル¥¥ぞつとせしが/遉{さすが}は¥J色¥¥老人。¥J詞¥¥是は++お若いに
似ぬ御/奇特{きどく}な。私もよい年「シ」をして。一人「リ」旅はいやなれど。サアいづくの浦でも金程太切「ツ」
な物はない。去年の年貢{ねんぐ}に詰り。此中から一/家{け}中の在所へ無心「ン」にいたれば。是もびたひら
なか/才覚{さいかく}ならず。/埓{らち}の明ぬ所に長居はならず。すご++一人「リ」戻る道と。¥J地ハル¥¥半分いはさず¥J色¥¥ヤイや
かましい。¥J詞¥¥有様が年「ン」/貢{ぐ}の/納{おさま}らぬ其/相談{さうだん}を聞にはこぬ。コレ親仁殿。おれがいふ事とくと聞しや
れや。マアかうじやは。こなたの/懐{ふところ}に金なら四五十両のかさ。嶋の財布{さいふ}に有「ル」のを。とつく
りと見付て来たのじや。/借{かし}て下され。男が手を合す。定「メ」て貴様も何ぞ/詰{つま}らぬ事か。
子が/難義{なんぎ}に及ぶによつてといふ様な。有「ル」/格{かく}な事じやあろけれど。おれが見込「ン」だらハテしよことが
ないと/諦{あきらめ}て。借「シ」て下され¥J地色ウ¥¥++と/懐{ふところ}へ手を指入「レ」。¥Jハル¥¥引ずり出す嶋の/財布{さいふ}。アヽ¥J色¥¥申夫「レ」それは。¥J詞¥¥夫「レ」はとは。
是程爰に有「ル」物と¥J地ハル¥¥引たくる手に¥J色¥¥/縋{すが}り付「キ」。¥J詞¥¥イヱ++此財布は跡の在所で/草鞋{はらぢ}/買{かふ}/迚{とて}。
/端{はした}銭を出しましたが。跡に残るは/昼食{ちうじき}の/握飯{にきりめし}。/霍乱{はくらん}せん様にと娘がくれた/和中散{わちうさん}。
/反魂丹(はんごんたん}でござります。お赦しなされ下さりませと。¥J地ハル¥¥ひつたくり¥Jウ¥¥迯行先「キ」へ¥J色¥¥立廻り。¥J詞¥¥ヱヽ聞分「ケ」の
ない。むごい/料理{りやうり}するがいやさに。手ぬるういへば付上る。サア其金爰へ/蒔{まき}出せ。/遅{おそ}いとたつ
た一「ト」討「チ」と。¥J地ハル¥¥二尺八寸/拝{おがみ}打なふ¥Jウ¥¥悲しやといふ間もなく¥Jウ¥¥から竹わりと¥Jハル¥¥切付「ケ」る。¥Jウ¥¥刀の廻りか手の¥J色¥¥廻りか。
¥Jウ¥¥はづれる抜「キ」身を¥Jハル色¥¥両手にしつかと/掴{つかみ}付。¥J詞¥¥どふでもこなた殺さしやるの。ヲヽ知「レ」た事。金の有「ル」の
を見てするしごと。/小言{こゞと}こごとはかずと¥J地色ハル¥¥くたばれと。/肝{きも}先「キ」へ指付れば。¥J詞¥¥マヽヽヽヽまあ待て下さりませ。ハア
/是非{せひ}に及ぬ。成「ル」程++。是は金でござります。けれ共此金は。私がたつた一人「リ」の娘がござる。其娘
が命にもかへぬ。大事の男がござりまする。其男の為に入「ル」金。ちと/訳{わけ}有「ル」事故浪人して
居まする。娘が申まするは。あのお人の浪人も元「ト」はわし故。何とぞして元の武士にして
しんぜたい++と。/嚊{かゝ}とわしとへ/毎夜{まいよ}さ頼「ミ」。ア身/貧{ひん}にはござりまする。どうもしがくの
仕様もなく。ばゞといろ++/談合{だんかう}して。娘にも呑込せ。聟へは/必{かならず}さたなしとしめし合せ。本「ン」
に++親子三人が血の涙の流れる金。夫「レ」をお前に取「ラ」れて娘は何と成「リ」ませう。コレ/拝{おがみ}
ます助「ケ」て下されませ。お前もお/侍{さふらひ}の果そふなが。武士は相身互{あひみたがい}。此金がなければ。娘
も聟も人様に顔が出されぬ。たつた一人「リ」の娘に連「レ」そふ聟じや物。不便「ン」にござるかはい
ござる。/了簡{れうけん}してお助「ケ」なされて下さりませ。ヱヽお前はお若いによつてまだお子もござるま
いが。やんがてお子を持て御らうじませ。親仁がいひおつたは尤じやと思召「シ」て。此場を助「ケ」さしやつ
て下さりませ。マア一里行ば私「シ」/在所{ざいしよ}。金を聟に渡してから殺されましよ。申++娘が
悦ぶ顔見てから死たうござります。これ申アヽ。あれ。++。++と¥J地色ハル¥¥呼はれど跡先「キ」/遠{とを}く¥Jフシノル¥¥山彦の/谺{こたま}
に。¥J中ハル¥¥/哀{あはれ}/催{もよほ}せり。¥J詞¥¥ヲヽ悲しいこちやは。まつととこぼへ。ヤイ/老毛{おひぼれ}め。其金でおれが出「ツ」世すりや。
其/恵{めぐみ}でうぬがC「レ」も出「ツ」世するはやい。人に/慈悲{じひ}すりや悪「ル」うは/報{むく}はぬ。アヽかはいやと。¥J地色ウ¥¥ぐつ
とつく。¥Jウ¥¥うんと手足の¥Jハル¥¥/七転八倒{しつてんばつたう}。¥Jウ¥¥のたくり廻るを¥J色¥¥/脚{すね}にて/蹴{け}返し。¥J詞¥¥ヲヽいとしや。いたかろけれどおれ
に恨はないぞや。金がありやこそ殺せ。金がなけりや何「ン」のいの。金が敵じやいとしぼや。
/南無阿弥陀{なむあみだ}。/南無妙法蓮花経{なむめうほうれんげきやう}。¥J地ハル¥¥どちらへ成「リ」とうせおろと。¥Jウ¥¥刀もぬかぬ/芋{いも}ざしゑぐり。
¥Jウ¥¥草葉も/朱{あけ}に置露や。¥Jウ¥¥年「シ」も六十四/苦{く}八苦¥Jフシ¥¥あへなく/息{いき}は/絶{たへ}にけり。¥J地色ウ¥¥しすましたり
と/件{くだん}の/財布{さいふ}。¥Jハル¥¥くらがり耳の¥J色¥¥/掴{つかみ}/読{よみ}。¥J詞¥¥ヒヤ五十両。ヱヽ久しぶりの御/対面{たいめん}。¥J地色ウ¥¥忝しと首にひつかけ
/死骸{しかい}を直「ク」に¥Jハル¥¥谷/底{そこ}へ。¥Jウ¥¥はね込/蹴{け}込「ム」/泥{どろ}まぶれ。¥Jウ¥¥はねは我身にかゝる共しらず立たる
/後{うしろ}より。¥Jウ¥¥/逸散{いつさん}にくる¥Jハル¥¥手/負猪{おひじゝ}是はならぬと身をよぎる。¥Jウ¥¥かけくる猪は一もんじ。¥Jコハリ¥¥木の根/岩
角{いわかど}踏立「チ」けたて¥J下¥¥/鼻{はな}いからして/泥{どろ}も¥Jナヲス¥¥草木も¥Jハル¥¥一「ト」まくりに飛行ば。¥Jウ¥¥あはやと見送「ク」る定
九郎が。/背骨{せほね}をかけてどつさりとあばらへ抜「ケ」る二つ玉。¥Jウ¥¥うん共ぎやつ共¥Jハル¥¥いふ間なく。¥Jウ¥¥ふすほり返り
て¥Jハヅミフシ¥¥死たるは心地よくこそ見へにけれ。¥J地色ウ¥¥/猪{しゝ}打とめしと¥Jハル¥¥勘平は。/鉄砲{てつほう}/提{ひつさげ}爰かしこさぐり廻り
て扨こそと。¥Jウ¥¥引「ツ」立れば¥J色¥¥猪にはあらず。¥J詞¥¥ヤア++こりや人じやなむ三宝。¥J地ウ¥¥/仕損{しそん}したりと思へどくら
き/真{しん}の/闇{やみ}。¥Jハル¥¥誰「レ」人成ぞと/問{とは}れもせず。まだ¥Jウ¥¥/息{いき}あらんと/抱起{たきおこ}せば¥Jウ¥¥手に当「タ」る金/財布{さいふ}。/掴{つかん}
で見れば¥J色¥¥四五十両。¥Jウ¥¥天のあたへと押「シ」/戴{いたゞき}++。¥Jハル¥¥猪より先「キ」へ¥Jウ¥¥/逸散{いつさん}に¥Jウ¥¥飛がごとくに。¥J三重上¥¥S急きける*

江木鶴子 Mail: egi@ube-c.ac.jp
前田桂子 Mail:maeda@frontier-u.jp