インターネットとは、TCP/IPという通信規約(プロトコル)を使って世界中のコンピュータをつなぎ、これによってできた世界最大のコンピュータネットワークのことです。
学校や会社など、組織内のコンピュータを接続したネットワークのことを、LAN(ランと読む。Local Area Networkの略語)と言います。 インターネットは、上図のように、LANをさらに繋げることによってできた世界規模のコンピュータネットワークのことです。 その意味でインターネットは「ネットワークのネットワーク」と呼ばれることがあります。
インターネットの歴史は、約30年前アメリカの国防総省が軍事研究用ネットワークシステムとして実験を始めた ARPAnet に遡ります。
以後このネットワークに、多くの大学や研究所、政府機関が接続し(いろいろと紆余曲折はあったものの)現在に至っています。
この歴史からも分かる通り、インターネットとは決して最近できたものではありません。宇部短期大学でインターネットに接続されたのは1991年からです。
現在のようにインターネットが大ブームとなる2〜3年前でしたが、このように多くの人がインターネットを知るようになったきっかけは、後述の WWWというインターネット上のサービスが利用できるようになってからのことです。
年 | インターネット関連 | 宇部短大 情報システム学科 |
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1969 | ARPANETが4ノードでスタート | . |
1980 | TCP/IPが国防総省標準になる | . |
- | DDX網をNTTが運用開始 | . |
1981 | CSNETとBITNETがスタート | . |
1982 | 電子メイル(SMTP)の標準化 | . |
1983 | TCP/IPをARPANETが採用 | . |
- | telnetの仕様が発表される | . |
1984 | DNSの考えが発表される | . |
- | JUNETスタート(東工大、東大、慶応大) | . |
1985 | ftpの仕様が発表される | 教育システムとして FACOM 160Fを導入 |
- | TCP/IPがUNIXのバークレイ版に組み込まれ普及 | . |
- | JUNETがCSNETに加入 | . |
1986 | JUNETで日本語メイル使用開始し、ユーザが増加 | . |
1988 | WIDEネットワークがスタート | . |
1989 | WIDEが国際専用回線で対米接続 | . |
- | JAIN スタート | . |
1990 | WWWのプロトコルができる | . |
- | ARPANETが終了 | . |
1991 | . | 3月 学科内ネットワークで試験運用開始 |
- | . | 12月 IPアドレス取得 |
- | . | 12月 SUN4-10を教育システムとして導入 |
1992 | SINETスタート | 3月 ドメイン名(ube-c.ac.jp)取得 |
- | KARRN協会設立、サービス開始 | 4月 JAINに加入 |
- | IIJ設立(始めてのインターネットプロバイダ) | . |
- | 日本で始めてのホームページ発信 | . |
- | 12月 Mosaic の開発開始 | . |
1993 | 情報ハイウエイ構想をゴア副大統領が発表 | 1月 WWWの運用を開始 |
- | . | 3月 KARRNに接続 |
1994 | . | 3月 CAI室ネットワーク接続 |
1997 | . | 3月 第3演習室ネットワーク接続 |
- | . | 6月 SINETに接続 |
2000 | ”IT革命”と騒がれる | 3月 第一演習室の更新 |
WWWは、インターネット上で動く情報システムのひとつです。 その名前は、World Wide Web(世界中に広く張られた蜘蛛の巣)の頭文字を取ったものです。 WWWと言いにくいために、単にWeb(ウェブ)と呼ばれることもあります。
WWWは、スイスにあるCERN(Conseil Europeen Pour la Recherche Nucleaire : ヨーロッパ粒子物理学研究所)でプログラマーをしていた Tim Berners-Lee氏(左写真)によって1990年に開発されたソフトウエアが原型です。このソフトウエアは、離れたところにいる共同研究者らが情報を共有する道具として考案されたようです。彼は、自分の作ったソフトウエアが研究所で大変役立ったので、これをインターネット上で公開しました。
Timさんによって公開されたソフトを、イリノイ大学の4人の学生が画像や音声なども扱えるように改良し、1992年に Mosaic (モザイク) と命名しました。
このMosaicがインターネットを通じてアッという間に世界中に広がり使われるようになったのです。
WWWは、インターネットに接続されているコンピュータに格納されている情報を、インターネットに接続されている別のコンピュータから取り寄せて見たり、データを送ったりする仕組みです。 情報が格納されているコンピュータをWWWサーバとよび、情報を取得しようとしているコンピュータをWWWクライアントと呼びます。 WWWクライアントでは、ブラウザと呼ばれるソフトウエアがホームページを見る仕事をします。
WWWの情報のやりとりは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)と呼ばれる通信規約にしたがって行なわれています。
WWWサーバに格納されているホームページを見る(取得する)ためには、その場所がわからないといけません。 この場所のことをURL (Uniform Resource Locator)と呼びます。 例えば、宇部短期大学情報システム学科のWWWサーバのURLは、
このテキストの存在する場所は、以下です。
項目 | 例 |
---|---|
サービス名(プロトコル名) | http |
サーバの名前 | www.cs.ube-c.ac.jp |
サーバ内の情報の場所 | ~egi/kouza2000/ |
インターネットは次のような特徴を持っています。
さらに最近、インターネット利用者が激増していることから、情報の多様化とともにその量も飛躍的に多くなってきています。これらも大きな特徴です。
インターネットは、人間にとってはひとつの道具です。
その道具はまだまだ未熟なところもあり、しばしば言われているような「インターネットはバラ色の世界」ばかりではありません。
ここでは2つの問題点を挙げます。
インターネットではWWWなどを使って「誰でも」「簡単に」情報発信することができます。それに起因するのが1つ目の問題点です。
例えば、現在良く話題になるのは、禁止されている「ポルノ情報」などを公開したり、特定の個人や組織の名誉を著しく侵害する情報を流すなどです。 これらは国によっては法律違反に相当する場合もあります。 シンガポール政府は一部の情報を規制する処置をとる方針を打ち出したということがニュースになっています。(1996.7.18 朝日) つまり政府機関が情報の内容を検閲するということです。
一方では、我々には言論の自由・表現の自由がありますから、流される情報の内容に対する過度で不必要な干渉は望ましくありません。
特定の立場の情報は流さないという不自由さは、「ポルノ情報」以上の弊害を社会に及ぼすことになるかもしれません。
この問題は、今後、インターネットの利用者が真剣に考え解決していかなければならない大きな問題点の一つです。
2つ目について少し説明します。インターネット上を流れる情報は、現在、次のような意味で安全ではありません。
そのため、オンラインショッピングをする際にも、カードの番号などを入力するのは本来は危険なのです。
また、2番目の理由から、インターネット上の情報は100%信用できる、とは言えません。
これらに対応するため、最近では暗号技術が急速に発展しています。
これは上の問題点を解消するのではなく、
ようにしておくことによって、情報の安全性を保つのです。
これに対しては、国家レベルで通信の検閲をしている国などでは、検閲が困難になるという理由で政府の知らない技術(暗号)を使うことに反対の声がありました。
日本は先日から法律的に、検閲ができる国の仲間入りをしたと言えます。
したがって今後の情勢によっては、上記の安全性を保つ技術がどこまで安全かが問題になる可能性もあります。
インターネットは、良くも悪くも国境をなくす強力な道具です。
これらの問題点の解決は、ひとつの国だけで対処できませんし、コンピュータの技術的側面だけでも対処はできません。
ネットワーク利用者あるいはインターネットを維持している社会の構成員全員に投げかけられている大きな問題でもあります。